もっとも認識いただきたいのは、この制度の一番肝心な部分は、通常裁判所が行うようなとても難しい作業である「事実の有無の評価」(つまり「事実認定」)をしっかりできる体制がとれるかどうかです!
こども家庭庁から様々な参考資料が示されつつあり、また、こども性暴力防止法の取り組みが義務である事業者様においては、GビズID取得、事業者アカウントの登録等、法施行の12月25日から「こども性暴力防止法関連システム」を利用できるようにするための手順がスケジュールに乗ってきました。
そのような中で、本制度がどのような運用となっていくのか、「Q&A」など具体的な内容が記載された資料も出てきました。これらをみていくと、事業者様がこの制度をちゃんと運用できるための一番肝心なポイントは、児童対象性暴力等の疑いが生じた場合等に必要となる調査、そして「事実の有無の評価」(つまり「事実認定」)をしっかりできる体制をとれるかどうかだと考えられます。そして、少なくとも、そこが重要だと認識して準備を進めることだと考えられます。
ここで、一般的に「事実認定」とは、裁判などの法的な手続きにおいて、提出された証拠(防犯カメラの映像、目撃者の証言、契約書など)を客観的に評価し、過去に起きた事実の「あったこと」「なかったこと」を確定させる作業のことです。 この事実認定によって確定した事実を前提として、法律を適用し、最終的な判決や結論が導き出されていくものです。
※本制度において、似た用語で「犯罪事実確認」という言葉もありますが、こちらは、「こどもと接する業務の従事者について、雇い入れ等の際に、『こども性暴力防止法関連システム』を利用して、過去の性犯罪歴の確認を行うこと」です(いわゆる「日本版DBS」と呼ばれる取り組み部分)。
この「事実の有無の評価」(つまり「事実認定」)が必要になる場面は、こどもやその保護者から性暴力等の被害の申し出があった場合等、従事者による児童対象性暴力が行われた疑いがあり、それについて調査を行い、事実確認を行う時です(ガイドラインP146~155等や「Q&A」、横断指針P48~72等にも記載があります)。
これらの対応には弁護士等の専門家と連携することが強力に推奨されています。
この対応について、事業者様が運用の中でしっかり回せる状態にできるか、がとても重要だと考えます。
運用が始まれば、相当な混乱も発生するであろうと考えられます。
現場でしっかりと回すことが出来なかった場合、その副作用として、地域に根付いて丁寧に細やかにやっていた現場を危機に陥れてしまうような混乱もありうるかもしれません。
しかし、最も現場に近いところで、伴走しながらサポートしていく立場となりうる、われわれ行政書士は、その時に、できる範囲で、現場がしっかりと回っていくようなサポートを行うことを心がけなくてはいけないと思っています。(当事務所では、調査・事実認定に対応できる弁護士と連携しております。)
事業者の方々も、早い段階からこの制度のはらむ困難さを認識したうえで、出来るだけの対処ができるように努力いただくべきかと考えます。子どもを守るため、社会一般に大きな期待で迎えられようとしているこの制度が、そして私自身、広がっていけば、起こるはずだった被害が一つでも減らすことが出来ると信じているこの制度が、かえって子供に悪影響を及ぼすような方向になるのを避けるために、みんなで努力していきたいと思っています。
参考



